第90回 記念選抜高校野球大会からタイブレークが導入

 3月23日(金)から4月4日(水)までの13日間(準々決勝翌日の休養日を含む)、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開催される「第90回 記念選抜高等学校野球大会」。

 今大会からタイブレークが導入され、全国高等学校野球選手権大会地方大会でも導入される(既に春季地区大会神宮大会国体では採用されている)。
 タイブレーク導入により、延長12回を終えて同点の場合、13回からは0アウトランナー1・2塁で始める打順は前の回から続く「継続打順」となる。そして、決着がつくまで続ける投手は1人の投手は登板できるイニングは15回までが上限。
 ただし、いずれの大会でも決勝だけは、タイブレークを適用しない15回まで行い、それでも同点の場合は引き分け再試合。そして、再試合ではタイブレークを適用する。

 これまでの甲子園大会では、延長15回終了時点で同点の場合、引き分け再試合としていた。
 タイブレーク導入の背景には、投手の肩ヒジへの負担軽減など、選手の健康管理の対策が挙げられる。これまでには、1993年から甲子園では出場校の投手に、肩ヒジのメディカルチェックを実施。ベンチ入り人数を増加させる(1994年春からは15人から16人、2003年夏からは18人)などといった対策が行われた。

 今回のタイブレーク導入には、様々な議論が飛び交った。
・9回までの流れが遮断されること
 →流れを相手につくられていた側としては、その流れがリセットされ新たなチャンスになる。一方、流れをつくっていた側はその流れを止められることになる
・タイブレーク対策の練習にあてる時間の問題
 →限られた練習時間の中で、練習の優先順位もあり、タイブレークへの練習が難しいのでは。タイブレークになる機会が多ければいいが
・次の回を考えながらの采配になること
など他にもあるだろうが、タイブレーク導入による影響が挙げられる。

 ただ、これまでルールが変わっても、新たな展開が繰り広げられ、新たな戦略やプレイが生まれてきた。

 タイブレークの場合、「2点取れば表が有利」という話もあるそうだ。
 これまで延長では後攻が有利とされていたが、タイブレークでは表が有利と言われている。社会人野球では、表に2点を取ればかなり勝率が高いという話があるそうだ。
 これは、何点取るかを計算する先攻何点までならOKかを計算する後攻、という考え方が生まれ、新しい展開が楽しめることにもなるのだろう。
 さらには、ここ一番でバントがうまくできる選手など、これからは「1・2塁」要員の選手も出てくるかもしれなく、そういった選手の出番が増える局面も増え、様々な選手の活躍の場が増えるかもしれない。

 こうしたことから、タイブレーク導入には、選手の健康の管理の背景があるが、タイブレーク導入での新しい試合の展開や戦略、観戦の仕方が出てきそうだ。