第90回記念選抜高校野球の出場校はどんなチーム?~九州、21世紀枠~

 3月23日(金)から4月4日(水)まで阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で、「第90回記念 選抜高等学校野球大会」が始まっています。
 大会は既に始まっていますが、大会観戦の参考になればと、出場36校中の九州、21世紀枠のチームについてをおおまかにまとめてみました。

東筑(福岡:九州):主役は昨夏からのエース石田投手。右横手から、動く速球系の球を操り、凡打の山を築く。秋の公式戦の防御率1.52は30回以上投げた出場投手中10番目と安定感を誇る。チーム打率341と打線は活発。走力やバントを使って1点をもぎ取り、接戦を守り切る東筑の伝統的なスタイルに加え、打線にパワーが増し長打力がプラス。攻撃の特徴は1試合平均3.8個と出場校中3番目に多い犠打飛。秋のチーム盗塁数はわずかに3個。
(県立。20年ぶり3回目の出場。1898年創立で開校120周年を迎えた。野球部は1900年に創部され、夏の甲子園にも昨年を含め6回出場。福岡県の公立では2005年の戸畑以来13年ぶりの出場。2季連続出場は初めて)

創成館(長崎:九州):長崎大会優勝、九州大会で初優勝、明治神宮大会準優勝。エース左腕・川原投手は130キロ台中盤の伸びのある直球が武器に4試合で防御率0.78。明治神宮大会では右腕・伊藤投手や左腕・七俵投手らの好投、層の厚い投手陣。秋の公式戦チーム打率は317。柔軟な打撃が強み。果敢な走塁に加え、目を引くのが足を上げずに振る。2ストライクに追い込まれてからは、すり足で対応するバッティングでコンスタントに得点を重ねていく打線。秋季を通じて公式戦13試合で31個の犠打。盗塁も1試合平均2個を記録。公式戦11失策中7個が内野。
(私立。4年ぶり3回目の出場。1962年、長崎市で九州経営学園として創立。夏の出場は2015年の1回で、その際の1勝が甲子園で唯一の白星)

延岡学園(宮崎:九州):チーム打率361を誇る打力。昨秋は九州トップの強打で勝ち上がってきた。昨秋の九州大会は3試合で犠打はわずか2。仕掛けて好機を広げ複数得点を狙う戦術。公式戦唯一の敗戦となった創成館戦での無得点以外は、8試合で76(1試合平均9.5)得点と打線が爆発。秋は1塁走者を打って進めるという攻撃が目立った。加えて打線には切れ目がなく、九州大会では準々決勝までの2試合15得点のうち、実に13点を5番以降の打者で挙げている。昨秋の公式戦9試合合計13失策の守備。
(私立。12年ぶり3回目の出場。1965年創立。野球部も同年創部で夏は出場。2013年夏に宮崎県勢初の準優勝を果たすも過去2回のセンバツは未勝利)

富島(宮崎:九州):昨秋は県大会準優勝、九州大会で準優勝。昨秋は「逆転の富島」のイメージを植え付けた。宮崎大会では初戦の2回戦で9回に逆転、3回戦でも9回に追いついて延長10回にサヨナラ勝ち。3回目の出場となった九州大会で、準決勝では昨夏の甲子園に出場した東筑にも逆転勝ちと粘り強さを発揮。チーム打率314。打線は「一番勝負強い打者を2番に置く」のが特徴。昨秋は、中川選手は公式戦9試合でチームトップの14打点、打率588とチームをけん引。足の速い選手が揃っており「機動力野球」を掲げる。投攻守のバランスが取れたチーム。秋は9試合で16盗塁。9試合で15犠打ときっちり走者を進める堅実性も。9試合で13個と1試合平均1個以上の失策数。
(県立。初出場。1916年創立の農業学校が前身。48年に現行名に変わり、野球部も創部。春夏通じて甲子園初出場)

由利工(秋田:21世紀枠):昨秋は春秋通じて初の東北大会出場。昨秋の公式戦でのチーム打率は271。粘りがチームの身上。
(県立。春夏通じて初の甲子園出場。1962年に創立され、野球部も同時に創部。部員のほとんどが周辺の中学出身者)

伊万里(佐賀:21世紀枠):県大会3回戦で佐賀商、準々決勝で佐賀北を撃破し、県大会準優勝、67年ぶりの九州大会へ出場。公式戦打率266。チーム本塁打0。一気の大得点ではなく、1回1点のスモールイニングをコツコツと積み上げて秋は勝ちを収めてきた。盗塁数は1試合平均1個。秋は走者1塁からのランエンドヒットが面白いように決まっていた。昨秋の公式戦、1試合平均が1時間48分。135季ぶりの九州地区大会出場。佐賀勢のセンバツは、全国最長ブランクの11年ぶり。
(県立。甲子園は春夏通じて初出場。1916年創立の県立高。野球部は46年に創部。部員36人全員が地元出身)

膳所(滋賀:21世紀枠):昨秋は滋賀大会ベスト8。攻撃では、打率よりも出塁率を重視する。昨秋はチーム打率245と低調ながら4試合で33得点。優れた選球眼を生かし、34四死球を得られたのが大きい。昨秋の4試合で12失策。データ班として野球部に加わり、セイバーメトリクスの考え方を採り入れることでプレーの確率を上げる。
(県立。59年ぶり4回目の出場。膳所藩藩校の遵義堂跡に第二尋常中として1898年創立。野球部も同年創部。59年ぶり4回目の出場。創立、創部120周年を迎える)

 昨秋の公式戦で3本塁打以上はなったのは17人。前回大会より6人多く、この10年で最も多い。